更新後の賃貸契約における連帯保証人の責任
当初の賃貸契約書には連帯保証人として署名したが、更新契約書には署名しなかった連帯保証人が、その後の賃貸人の賃料不払いについても、連帯保証人として責任を負うとされた事例
最高裁・判決平成9年・11.13
1紛争の内容
① 貸主Cは、借主Aとの間で、昭和60年5月31日、Cが所有するマンションの1室を、契約期間
昭和60年6月1日から昭和62年5月31日までの2年間、賃料月額26万円の約定で賃貸する
契約を締結した。
② その際、D(借主Aの実兄)は、Cとの間で、本件賃貸契約書に基づきAかCに対して負担する
債務につき連帯保証した。
③ その後、本件賃貸契約は、2年ごとに3回にわたり合意更新したが、その更新に際して、Cは
DはCに対して、保証意思確認の問い合わせをしたことも無かった。また、Dにおいて引き続き
保証人になることを明示的に了承したこともなかった。
④ なお、2度目の更新において賃料は月額31万円に、3度目の更新において月額33万円改
定されていた。
⑤ ところが、2度目の更新後から次第にAの賃料滞納が始まり、3度目の更新の平成3年6月
以後はほとんど賃料の支払いがなされていない状態となったため、Cは、Aに対して、平成4年
7月、本件賃貸契約の更新を拒絶する旨通知し、平成5年6月18日にマンションから退去した。
⑥ 以上の経緯のもと、貸主Cは、借主Aの賃料不払いによる滞納賃料853万円余りの支払いを
連帯保証人であるDに求める訴訟をおこした。
3.各当事者の言い分
【 貸主Cの言い分 】
賃貸借契約の連帯保証人は、借主が建物を明け渡すまでの一切の金銭債務の履行について
借主とともに責任を負うもので、更新契約に署名・押印したか否かは関係ない。
【 連帯保証人Dの言い分 】
①更新前の契約と更新後の契約との間には法的同一性はなく、更新前の契約に付された敷金以
外の担保は、特別の事情がない限り、更新後の契約には及ばないはずであり、当初の契約にし
か署名・押印せず、更新に際しては、連帯保証人に対して保証意思の確認の問い合わせがされ
たことも、引き続き保証人になることを明示的に了承したこともなかったのであるから、更新後の
賃料不払いについて責任を負う必要はない。
②仮に連帯保証人が更新後の賃料不払いについて責任を負わなければならないとしても、Cは
長期にわたりAの賃料不払いを放置して、契約解除や連帯保証人への連絡もせず、未払賃料額
を853万8,000円に増大させたもので、連帯保証人への請求は信義則に反する。
4.本事例の問題点
当初の契約に署名・押印した連帯保証人は、借主が建物を明け渡すまでの一切の金銭債務に
ついて責任を負わなければならないか。
5.本事例の結末
まず一審の神戸地裁は、更新前の契約と更新後の契約との間には法的同一性はなく、更新前に
付された担保(敷金を除く。)は、特段の事情がない限り、更新後の契約には及ばないとしてDの
主張を認めた。
これに対し、最高裁判所は、二審の大阪高裁の判決を支持して次のように判決し、CからDに対
する延滞賃料の請求853万円余りを認めた。
①建物の賃貸借は一時使用のための賃貸借を除き、期間の定めの有無にかかわらず、本来
相当の長期間にわたる存在が予定された継続的な契約関係であること
②期間の定めのある建物の賃貸借においても、貸主は、自ら建物を使用必要があるなどの正当
事由がなければ、更新を拒絶できず、借主が希望する限り、更新により賃貸借関係を継続する
のが普通であるから、借主のために保証人になろうとする者も、このような賃貸借関係の継続は
当然予測できること
③保証における主たる債務が定期的かつ金額の確定した賃料債務を中心とするものであって、
保証人の予期しないような保証責任が一挙に発生することはないのが一般であるから、賃貸借
の期間が満了した後における保証責任について特別の定めがなされていない場合であっても、
反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がな限り、更新後の賃貸借から生じる債務につい
ても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するが、当事者の通常の合理的意思に
合致すること
④ただし、借主が継続的に賃料の支払いを怠っているにもかかわらず、貸主が、保証人に連絡
するようなこともなく、いたづらに契約を更新させているなどの場合に保証債務の履行を請求する
ことが信義則に反するとして否定されることもあり得ること
⑤本件の事例関係では、特段の事情がうかがわれないから、本件保証契約の効力は、更新後
の賃貸借にも及び、CがDに対し保証債務の履行を請求することが信義則に反するという事情も
ないから、Cの請求は認められる。
(宅地建物取引主任者講習テキストより)
最強の保証人!その名は、『連帯保証人』
ただの保証人とは一味違います!
連帯保証人は、債権者から直接請求される(〇〇さんに貸したお金返してください。)みたいに・・
ただの保証人は、債権者から請求されると(〇〇さんに、言うってから言ってきて、)みたいな~
実際に家賃滞納等でいざトラブルになってみると、契約書の借主の署名と連帯保証人の署名が
同じで、印鑑も三文判が押捺されているものが多くあり、このような場合に連帯保証人に不払い
賃料を請求しても、決まって『借主が勝手にやったことなので私は知らない』と言われることになっ
たりすることが多々ある。
本日のお相手は、気温36℃の中 クーラー無しの一戸建でオープンハウスをして、
『マジで熱中症!3秒前』 の 広末次郎でした。
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